忘れられた毛/花形新次
 
懸命に生きる

あなたの

手入れを忘れられた脛の毛に

日々の疲れを

無意識の諦めを

そして

少しの哀しみを

想う

駅のホームで

電車を待つ

毛は

ストッキングのなかで

冷たい風に吹かれている



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