道の終わり/木立 悟
 





岩に囲まれた
岩が叫ぶ
陽は圧され
少し 撓む


塔よりわずかに高いところに
見えないものの軌跡が残り
何処よりも早く暮れてゆく
音けす音を撒きながら


深海の針

ひとつの灯
ふるえとみどり


冬は降り終え
別の冬が来る
さまざまな鱗
外へ流れる


白に満ちて
白は泳ぐ
白のまばたき
こぼす子ども


見つめていたものが目を閉じ
空は自由になった
まぶしくさみしい
治らない傷となった


水と声と
血と風のふちどり
うすく こがねの
真上をゆく


崖の道の終わり
陽は去る
鳥の冠 眠りの冠
別の冬の子へ降りそそぐ






















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