道の終わり/木立 悟
岩に囲まれた
岩が叫ぶ
陽は圧され
少し 撓む
塔よりわずかに高いところに
見えないものの軌跡が残り
何処よりも早く暮れてゆく
音けす音を撒きながら
深海の針
泡
ひとつの灯
ふるえとみどり
冬は降り終え
別の冬が来る
さまざまな鱗
外へ流れる
白に満ちて
白は泳ぐ
白のまばたき
こぼす子ども
見つめていたものが目を閉じ
空は自由になった
まぶしくさみしい
治らない傷となった
水と声と
血と風のふちどり
うすく こがねの
真上をゆく
崖の道の終わり
陽は去る
鳥の冠 眠りの冠
別の冬の子へ降りそそぐ
戻る 編 削 Point(3)