あなた/
番田
檻の中に見た
いなかった 誰も そこには
強く吹いた 風は
思いを 私から 奪った
夜の中を 私は歩いた
遠い喫茶を 目指して 歩いた
そこには 誰かが いるはずだと
私は 信じて 歩いた
石段を 登って 見上げた
狭い路地に ひとりで 立つと
ラーメン屋の中で 飯を 食べて
死んだ 動物を 飲み込んだ
*
手に箸を持ち
福神漬けをかみ砕いた
小骨の奏でる音楽を聴いた
引き裂かれた肉体のどこかで
醜さの中で 音楽を
いつも 誰かに 奏でようとした
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