朝の日記 2010夏/たま
うすい羽のはえた夜行バスにのって
月あかりにかがやくいくつもの雲をこえて
あいした理由も
あいされた理由も
すべてあなただったから
いつもの街角、いつものバス停
やわらかな猫の手に夜の切符をかえして
朝やけの街をあるく
色づきはじめた木の葉は一年分の片道切符
もう、ここが終点
ひと夏の夢はおわったね
木のように生きることができないわたしの
あしたを描くために夜行バスはやってくる
街はいつか森に還るだろうか
ひともいつか野原に還るだろうか
鳥やけものたちがわたしの手足となって
あしたはやってくるだろうか
かわいた落ち葉を踏みしめて
朝のバスを待つわたし
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