とりもどせ/
こむ
不意に 認識が
足元から立ち上がって
見上げるばかりに
大きくなる
視界が 闇の中に 崩壊する
「ここ」が 彼方に飛び去って
見たことのない「ここ」が
目の前に立ちはだかる
踊り始めた妖怪たちを
見つめてはいけない
どんな言葉も
受け入れてはいけない
もとの部屋に
帰らなければならない
どこか別の「ここ」に
行けるわけはない
目を閉じて 歯をくいしばって
「本当の今」を とりもどす
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