どんなところへもいける人/真島正人
{引用=
あなたはそこに座り込んでいる
水のような
やわらかくどろっとしたものの真下に
あなたの頭の上では
戦闘機が飛行し
小さな爆弾を
投下していく
あなたの歌う歌が
万人の心を捉え
それがゆえに
過ちは過ちを認識した
だけど愛は
最小の単位のほうにしか寄り添わないので
あなたは家庭以下の
尺度にいつも折り曲げられてしまう
あなたはそこに座り込んでいる
世界の音楽が
すべて消えてなくなる場所に
静寂は神の使わした印
いくつもの入道雲は
思い出を消化しかねて
浮かんでいる
浮かない顔で
田舎のあぜ道を駆け上り
その先に稲穂がたなびいている
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