ふぉとぐらふぃっく (ご利用は計画的に)/乾 加津也
 
真に身投げした日
しののめが菜の花ばたけを焼け野原にし
顔中心のおきてが立ちあがったせいか

「太陽のようなあなたから」
わたしは一匹の蟻の黒い啓示をうけ
採光場でひろった遺物を
ひっかけて引きずってわたしの部屋まで運びいれ
また新しい匂い
奮起し
澱を浚いながら
あやしい現像(分身)を楽しむ暮らしぶりそれが狂気
のすたるらしい

写真は息をもどす口蓋をもたず
もの憂げな素材もないのに どこかで
わたしの小指をしっかりにぎり
きしむきおく
注油でまだまだ使える刻限(うつろい)ですから
反りかえって
無くしたちくちくを暴く

痛みがあれば
生きていける
うそ(仮想)でも生きる
気になれる

問題は 透過した それが だれ




製造工場は
賞味期限の溢れかえった食物たちの
四角連鎖がまるくはじまり
ブラックホールのように自壊したという
写真の記事を握りしめ
立ち尽くしてもふぉとぐらふぃっく


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