冬の日の即興2/橘あまね
 
泣きやんだ空のゆううつ
雲のまにまに
トタン葺きの屋根屋根からとびたった
まっしろい小鳥たちのまっくろい足、足、

鎮守の丘をみあげては
向こうがわを夢見る
臥せりがちの少年の
履きつぶすことのないスニーカー

知らない街からやってきて
知らない街へ去っていく歌、歌
地図の一枚一枚に
ちがう名前をつけるけれど
ひとしく満ちるのは
土と人のかなしいいとなみ

太陽の普遍を待つ
その合間、合間に
繰り返される風景を
知らないふりで
封じ込めた





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