悪桃太郎/オノ
昔々、あるところに、悪そうなおじいさんと、
悪そうなおばあさんが住んでいました。
ある日、悪そうなおじいさんは山へ芝刈りに、
悪そうなおばあさんは悪そうな顔で、
川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川につくと、上流から、
意地の悪そうな桃が、どんぶらこ、
どんぶらこと流れてきます。
「イッヒッヒ、おいしそうな桃だこと。」
おばあさんは、おぞましい声をあげて、
ほくそ笑みました。
おばあさんは、ヨッコイサと桃を岸に揚げると、
不敵な笑みを浮かべながら家路につきました。
おばあさんが家に帰ると、おじいさんはもう帰っていました。
芝刈りなど行っていなかったのです。
悪いおじ
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