秋の回旋塔/こしごえ
 

即興演奏の融合した空がこのからだで倍音を
発する。満月の銀の弦が冷たく光る。
目を瞑った先に見える映日果が上映される
夕べに伝言する蝙蝠の光子は
舞台裏で旋回し観客には映らない。いつも
遊園地ではのっぺらぼうの笑顔が撮影
されてしまう。理由は誰にも解らないが、写
真機だけは知っている影の行方。素通りする
蟻の行列
翅を失った夜へと
猫の瞳は
新月を
む かえる
昨日も亡き朝に、昇る産声を
連峰の胎は切り そろ えた。朝焼けが、
空へ沈むあかあかと。
そして空はみずみずしい青を孕む
限りある砂時計の接点で落ち合う
真砂は抱き合い風は演奏を再開する
岸はひとす
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