背もたれ/番田
ここには誰もいなかった
道を 歩いて 通り過ぎていく
誰が 自分であることなど 自分に 思うだろうか
木の葉である 自分自身を そこで 思うのだろう
そうして 杖をつき 次の場所に 向かっていく
そんなものだろうと 思う
雪の 舞い降りた 白い ホームで
今日も 電車を 待つ
その 手を こすり合わせた
自分である 人間である ということすらなく
いつも 考えあぐねていた
遠くにゆらぐものを 私は 見た
眠りに落ちていく
遠い世界のどこかで
流れる風を歩いた
いったい私は何をしてきたのだろう
池の中に見えた模様を見た
景色の中に
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