揺れる なまざし/るるりら
 


今日の太陽は 虹色
うろこ雲の間から のぞいた その光は 
魚のような潤いで太陽の位置周辺に
虹の同心円が見える
いきもののような 空だ

太陽は 天海を漂っては いない
ああやって 太陽は 空の一部で
私を見ている やさしい まなざし

初日の出は 一年に ひとつしか あがらないとは 限らない
あの年の日の出は あの人と私には ふたつあった

ふたりで暮らしていた おそろしく古いアパートは
煙突ストーブが利用されていた時代からの代物で
時計の隣には 時計と同じ大きさの
煙突穴が空いていて ふたりには 塞ぐ時間もなかった
おか
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