動物園/salco
 
浅いプールのような
今どきの象舎には鉄柵も濠も無く
リンガムめいたステンレスの円柱の間をつながれてもいないのに
3頭のインド象はゆっくりゆっくりと巡っている
見れば
おとなの1頭は片方の前肢をほんの2センチほど地面から浮かせている
己が体重を支えて佇む骨の痛みなのか
それとも些細な退屈しのぎの所作なのか
こめかみの窪んだ巨大な頭をうなだれ思慮ありげに
伏せた目を上げようともせず
不躾なカメラのレンズから逃れるように横を向いている
右端では人間どもに尻を向けての盛大な排泄に歓声と哄笑が上がる
ゴリラの自尊心なら投げつけるであろう糞のたまりが匂いを立て
その気になればひとまた
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