片足あげて飛び越えていく/とんぼ
今日知らない町を歩きましたわたし
駅の前に車の走っていない大きな道路がある町
市バスにおばあさんが1人だけ乗っている町
ここはあなたと彼女の思い出の町でした わたしひとりきりで
道の影に公園のベンチにスーパーのレジに
見たこと無いはずの女の子を見てた
あなたの影と寄り添っていた
どうか
もっと笑ってくれますように
もっと泣いてくれますように
心配いらないとあなたは言った 隣にいるんだからと
それは全くその通りなのに怖いね
あなたに過去があること
その過去が無ければあなたはあなたではないのに
それごと全部愛してしまえるようなわたしになりたいのに
かわいい女の子でいたいのですわたし
あなたの記憶の何にも負けないように
なんていう詩を書いていたらあなたから電話
さみしいんだろうと思って、と耳の中であなたの声が滲む
越えて生きたい未来はこれ
あなたの耳の中に飛び込んでって微笑むわたしを
聞いていて見ていて
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