君が、もらう/番田 
 

掌には何一つとしてない
私はそこに 色々な夢があった
見えている君には 存在するのかもしれない
姿を思いめぐらせた 頭の
私は 眠りに 落ちていく


それは すきま風の緩んだ日 無印良品のベッドで
休日ですらない 晴れた日の世界で
過去ですらないものを 私は 見た
それは 君に手渡すためのプレゼントだった
それを私は拾い上げて
空に手をかざした時 私は品川にいた


山頂の美術館から
自転車で降りていく
自分が誰であるかなど知らない
君自身なのかもしれない



私は そこで 魚を釣り上げると
それを 水面に掲げ 反射させた
散らばる水しぶきを 私は見た
揺れ動く 魚の 無数の光である
いくつもの 六角形の虹を 私は見た



一人である 私は 今日も 誰一人 味方ではない
君の体はきっと 遠い果ての彼方の ヨーロッパからやってきて
そして すぐにあきらめて また 過去に帰っていく


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