君が、もらう/番田
掌には何一つとしてない
私はそこに 色々な夢があった
見えている君には 存在するのかもしれない
姿を思いめぐらせた 頭の
私は 眠りに 落ちていく
それは すきま風の緩んだ日 無印良品のベッドで
休日ですらない 晴れた日の世界で
過去ですらないものを 私は 見た
それは 君に手渡すためのプレゼントだった
それを私は拾い上げて
空に手をかざした時 私は品川にいた
山頂の美術館から
自転車で降りていく
自分が誰であるかなど知らない
君自身なのかもしれない
*
私は そこで 魚を釣り上げると
それを 水面に掲げ 反射させた
散らばる水しぶきを 私は見た
揺れ動く 魚の 無数の光である
いくつもの 六角形の虹を 私は見た
*
一人である 私は 今日も 誰一人 味方ではない
君の体はきっと 遠い果ての彼方の ヨーロッパからやってきて
そして すぐにあきらめて また 過去に帰っていく
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