ラビッツフット/あおば
 

芝居がかった服装で音もなくやって来て
魔法使いのように必要な時と場所にどこからともなく現れて
確乎とした姿勢でかな釘流の文字を認めて小うるさい満座を唸らせる私語を黙らせて
これ以上ないと言うくらいのっぺりした顔の雄猫が
来年の干支を追い回す午前と午後が入れ替わる時間帯の
小判も大判も縁のない小動物たちが憧れるのがエトピリカ
水の中も空も自由自在に泳ぎ飛び回る
あたたかくなったので
ホーホケキョの声を聴きながら
ボイドの立ち居振る舞いを真似してるのだと
流言飛語が飛び交う巷の噂を知ってか知らずか
悠々と裾を翻してボイドの息子たちが馬に乗ってやってくるが
今日はクリスマスイブ
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