病棟のメリークリスマス/北大路京介
 

子どもたちに囲まれたり、子どもを持ち上げたり、子ども達に持ち上げられたり。

世界中に たくさんのサンタさんがいて、
そこにいた子ども達には笑顔があって、

ふだんは得体の知らない闇に脅え泣いているのかもしれないけれど
写真に映る人たちは、楽しい笑みに溢れてた。


何枚かの写真には メッセージボードを持ったサンタがいて、
英語で書いてあったから、そのときには 解らなかった


年明けに退院できて、卒園式も終えて、
小学校を出て、中学生になって、英語を学ぶようになった ぼくは

あの日の写真は、引き出しにあって
メッセージが読めるようになって

『 病に打ち勝て! 』
『 病気に負けないで! 』
『 オレんとこ遊びに来いよ! 』

世界のサンタが ぼくを応援してくれてた。



あの日から ぼくが将来なりたいものは サンタクロースになった


まだまだ下っ端のサンタクロース。
赤い服を着られるようになるのにも あと30年はかかるだろう。


いつか 濃い紫の服を着て、孫と将棋を打てる爺になりたい
 
  

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