早く来い来い、だけど…/藤鈴呼
夜とか
言って解らない時の言い訳だとか
やってみせても理解できない瞬間だとか
全てを飲み込んで
ぐしゃぐしゃにしたら
もう一つだけ 言葉を 選ぼうか
もう 一つだけで 良いんじゃないですか
喉元で 組み敷いた台詞が
口笛となって ピュウと 寂しく啼く
すぼめた唇は
お弁当の真ん中で泣く 梅干なのです
周りが皆 白だからと言って
目立ちたいんだろうと 責めないで下さい
だって アタシが いなけりゃあ
真夏の昼まで 持たないんでしょう?
腐っちまうんでしょうって
鎖で 繋がれながら
ほんの小声で 呟いたんです
ピュウピュウ
あの日の呼吸が カンタロ
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