「 異国にて 」/椎名
 
夢を見ている

雲の上を歩くようにふわふわと

おひさまいろの風の中

冷えてきた空気も気にせずに



夢を見ている

ふたり初めて出会ったときを

あのときの感動

あのときの恥じらい



夢ばかり見ているから

今はあしもとが見えなくて

ふわふわと夢遊病者のように

少し虚ろなこころ



それでも目の前に現実があるから

生きている

歩いている

まぎれもなく自分の足で



ねえあなた

ちゃんと手を繋いでくれてる?

手を離したら転んでしまいそう

ひとりではちゃんと歩けないもの



ここは

わたしにとっての異国




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