本物の雪/藤鈴呼
 
00段もの石階段を 見上げたら
昇る前から 溜息が 出ちゃう

けれど 頂上からは 絶景が 臨めるからと
甘い言葉に 気持ちを 奮い立たせる

一つ 一つ 数えていては
羊が一匹と一緒で 萎えてしまうから

何となく 太陽が 近くなったな、なんて
根拠の無い自信でも 足元に括り付けて
とにかく 歩くのです

昇る、 だなんて 仰々しく 考えて しまっては
何だか 膝に 錘(おもり)でも 付いたみたいに
感情の波も 激しくなって しまうから

おせんべいを 割る時と 一緒でね
階段は 浅い方が きっと 良いんです
一段が 高ければ
それだけ 昇る回数は 少なく
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