かくれんぼ/乾 加津也
 
 もういいかい
黒い
血汐がべっとりと
展望台の裏にシミをのこすわ
かならずいつか見つかるためよ
(救いとか 滅びとか そんなおそろしいことを伴って)

 もういいかい
指で押しのばす糊のように
壁ににじみ
いきをうすめて
水からで水からを
 るるる るるるる
ほどきましょう
(どうしてあなたは
 なにをそんなに
 慌てているの)

  それでもあなたが
  あらわれるのは
  細首の思念に
  一輪挿した薔薇の罪
  (あか!)

もういいかい
四方の
あなた もう
いないのかい


もう いいかい
もう いいかい


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