かくれんぼ/乾 加津也
できるだけしずかに
水子のゆくえを追いながら
いつまでも駁(まだら)のように
羊にだかれて
いたかったの
なのに
あの日から あなた(わたし)の
放水がはじまっている
あなたはそこよ
まるいながいトンネルのひんやりで
かたいヒールの木霊の連続(リズム)
むすんでひらいて
(あなたの好きなたくさんの書架で
光は床にあたたかいわね)
そんなあなたも
もう弾めない
もうひろがれない
手毬のほころび いつまで
いきをとめていられるかしら
あんしんしきった返事は やめて
合図になるの
こうべを垂れているものが
太陽を真っ赤にしてやってくるのよ
も
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