居場所/一 二
た
「いつまでも泣いてないで
早くこっちに来ないと
本当に駄目になっちゃうよ」
「しくじった青春に耐えて
楽しい老後を
私と一緒に過ごそうよ
「恋愛感情がある訳じゃないんだから
勘違いしないでよね」
それが、妹の口癖だった
妹の人格を知る上で
参考となることが、もう一つ
彼女は満面の笑みで
目の前の非現実を受け入れる
ような人格の持ち主だった
自らも非現実で在りながら
妹と朝食を食べ終え
外に出ると
そこには見渡す限りの
海が広がっていた
妹はこう訪ねた
「空って…どこにあるの?」
俺はこう応えた
「海と砂浜の境を見分け
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