ごめんなさい/haniwa
カーをしていた
ベンチに座ってタバコをすうと10歳くらいの男と女が
隣で愛を交わす声がきこえた
12月の空気はつめたく 息は白かった
なんとなくアパートの壁を殴ると
人差し指のでっぱりに血がにじんだ
僕はそれを一口なめて味を確かめ
バンソーコーを貼って 目覚ましをセットして眠った
遅刻しそうな人が駅にいそぐのを
僕はぼんやりと眺めていた
その駅はとうの昔に取り壊され
廃線となった線路に電車は来ないことを
もっとはやく 教えてあげればよかった
ごめんなさい とつぶやいた
ごめんなさい ごめんなさい
けど もう誰も聞いてくれなかった
踏み切りの音が遠くで鳴った気がした
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