冬のお金/番田 
 
とつの意識だけなのだろう
そこで 私はぼんやりとたぶん指先にそれを見ていた
一つもなくしてはいないそこに今は持っている
思いを 私は思いの向こうに転がしていく


私はそこに 誰の思いも なくしている 
暗いアパートの人知れぬ部屋にいた
ぼんやりとホームの角にひとり立ちつくしていた
ゆっくりと ただ そこに流れていくものを


きっと誰かが 一人で そこではたぶん 何かを待っているだろう
金を 引き出した そして 家に持ち帰った それを
とてもそれは暖かな女の子の姿かもしれない
やはり私はそこで 無印良品のノートを今日も買えなかった


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