『しろう』-永遠未完小説-/しろう
 
粒子とその反粒子の存在変移率を観測することにより、12^12を底数とする進数(約8.9兆進数)を用いるのが通例となっている。
おそらく前章の歴史をもって自種改変への倫理的束縛から解放された(…としておこう)わたしたちはその後、遺伝子改変を繰り返し、当時コンピュータを用いていたとされる演算を、いまや人脳内で行えるようになった。さらに「ニューロン」などという電流の速度による遅々とした信号伝達はすでに遺棄され、「量子もつれ」による超光速伝達を用いることによって、現在のところ、ごく標準的な個体でも1秒間に約1イコサ(10^60)FLOPSの演算能力があるとされている。ちなみにこれは今あなたが読んでいる
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