よわいひと/あおさか
ドン叩いた。ぴたりとやんだ全ての音。空虚。あはは、乾いた笑いを漏らしてから、急いでキッチンにいってふにゃふにゃべちゃべちゃのお月様をつかんで、ベランダに飛び出してお隣のベランダに投げつけてやった。お月様今度こそ本当にさようなら。もう世界に夜はやってこなかったらいいのになあって思ったけれどこれはただのホットケーキだったから世界にはなんにも影響なかった。わたしだって一緒だった。世界になんら影響を与えることない空虚なかたまりだったのだ!
「あ、帰ってきた」
ぎいとドアが開いた音。おかえりダーリン!と仕事ばかりの彼に叫んで抱きついてそのままベッドインすれば騎乗位でファックしてあっという間に涙も乾いちゃうわけです。空にはまんまるお月様。明けない夜がいちばんほしい。
つぎにハムスター。
(よわいひと)
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