よわいひと/あおさか
「さびしいとつぶやいたってきえませぬ」
ひとりぼっちの夜中にホットケーキを焼いていた。脂っこいカップラーメンひとつじゃあ、この欲張りなお腹は満足してくれなかったから。甘い匂いが漂って鼻の奥はひくひくしている。フライ返しをつかんでホットケーキをひっくりかえす。なにこれ生焼けじゃないか。生地がフライ返しにべっとりとこびりついていた。それをぺろりとなめてみる。できるだけ、セクシャル、に。わたしの真っ赤で扇情的な舌に絡みつくその生地が、もしも精液だったならば、昨日わたしを見ておませさんだなと侮蔑の笑みを投げかけてきたあのひとのことをも興奮させることだってできるのに。ざんねん。ボウルにこびりついている
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