新宿にあるあの店のコーヒーを飲みに行こう/虹村 凌
 
コーヒーを飲んだら
窓の無いラブホテルに行って
セックスをしてから
朝を迎えよう
何て言えば
笑うかな

吉祥寺の街に突っ立って

あの頃の日々を過ごしていた時は
その暗い海を死ぬまで泳ぎ続ける気だったのに
気付いたら早々に陸に突っ立っていた
あぶく銭に埋もれて一生
男なんざやりたかねぇ
そう言って粋がったところで
結局は男が出来ないだけだし
つまりは男になれないだけ
あぶく銭も掴めないだけ
よくある下らない話で


酒の飲めない俺でも
西新宿の親父の店になら行ってもいいかな
それとも新聞配達のバイクの音を聞きながら
湿気ったポテトチップスをかじるし
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