夜風に吹かれて/一 二
 
夜の風
木々の呻き
冷たい切り裂き
胸に闇が染み渡る

夜の風
虚無の軋み
忘れたはずの記憶
漠然とした不安

夜の風
光を灯せど
自ら声を上げようと
暗闇の顎は開いたまま

夜の風
人は自然を征せど
自然は人を征せず
ただ虚ろに在るがままに

夜の風
人無き跡も通り過ぎ
いつまでも響き渡る
ただ虚ろに在るがままに

夜の風
在るがままの影
我等の魂の影
ただ虚ろに在るがままに
ただ虚ろに在るがままに

存在の風
虚無は虚ろに在るがままに
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