あさ/はるな
 

いくつもの気持ちが空のふちを彩って、あさ。
燃える気持ちも、冷えて凍る気持ちも。
空白も、郷愁も、憤りも、悲哀も、すべて携えて、あさ。
別れのように、あたらしい出会いのように。
両極も、矛盾も、絶対も、すべて孕んでいる、あさ。

最後の星が落ちる。
鳥たちが整列して、夜の切れ目を縫い取るように羽ばたく。
ぺらりと張り付いたうす甘い月は、日の出をみて安心して沈むよ。
みてごらん。
夜のふちが、もえさかる。
すべてのものの、始まりと終わりをまぜ返して、混乱した世界がきょうもはじまる。
誰かが望み、誰かが呪う、あたらしい一日を、飾るように厳かにはじまっていく、あさ。



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