追憶/アラガイs
唸り声をあげ奥深い夜の森を駆け抜けた氷の風
冬は痛々しい姿で朝陽を浴びる〃針葉樹の霧氷はさらに美しい〃
ひとつ白い息を吸い込んで吐いた
孤独だろうと、そっと目を閉じれば、 広い母屋にひとり母の手編む姿が浮かんでくる。
春先に父が死んで記憶に残るモノは
買い物に行く、と言えば出たがりな顔に必ず付いてくる、足元の〜ふらふらと衰えた小さなひよこ歩きくらいで
まだ元気だった頃の残像は途切れ途切れに重なり
薄くフィルムに閉じ込めたまま
被写体は何故か、それよりも以前が朧気な霞み 。
儚くも
血のかよいあうもの
忘却とは残酷な表象の杖に、恩などと口にだせばだすほど見え透いた
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