たまご/斗宿
紅く熟れた石榴の実を一粒
与えられ渡る虹の橋
暗い坂道這い降りて
辿り着くのは夜の国
たまご
霊の子
河を流れて
七色に光る砂礫の粒に
照らされて積むは
骨の破片よ
三百五十の
水の子の業
たまご
玉の子
人の宝よ
欠けて揃わぬ浄罪の符は
荼毘に付された
骨の欠片よ
灰と流れた
其のからだ
たまの子は
永遠楽土の岸辺求めて
川底に石をさぐります
燃え尽きた身に代わるもの
明恢色の礫を探して
凍えた水に耐えるのです
一つ積んでは父のため
二つ積んでは母のため
三つ積んでは故里の
地蔵の瞳の寂しさよ
ここには
朝も昼も星もなく
気がつけば
子らは一つの唄うたう
積み上げた時を忘れぬよう
か細く響く数え唄
賽の河原の数え唄
雲が運ぶ読経の声が
時おり河をぬくめるけれど
かつて居た
母様の温もりには届かない
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