冷たい季節/ホロウ・シカエルボク
 
灯りが揺れるわ
猫が崩れてしまわないよう
あまり動けない私は
影の国へいつか溶けてゆくに違いないわ


甘い音楽が聴きたいの
ディジタル・ビートの冷たい感触じゃなくて
体温に作用するような確実な音楽が聴きたいの
血液が流れることはそんなに簡単なことではないわ


膝に子猫を抱いている
二日前に死んだ子猫
それをどうにかしたいわけではなくて
ただそうしていたいだけのことなの


私はあなたの住所を思い出そうとしている
あれからとても長い時が過ぎたみたいね
まだあなたに手紙を出せるか試そうとしている
だけどそこに何を書けばいいのか…


冷たい季節が来るわ、そうよね?
膝掛けを用意しなくちゃ
新しい紅茶の葉を出さなくちゃ
温かいシチューを作って食卓に並べなくちゃ


冷たい季節が来るのよ




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