Drops/しろう
 


あめ玉は降るものであり
あめ玉があるからには
あめ玉は降らないだろう


地上に哀しみがあった。たぶん橋の上に橋が架けられたからだった。
たとえ虹の上に虹を架けても空は流出したりはしないが、十字架の上に十字架を架けたからといって丘の見晴らしが良くなるわけでもなかった。そんなわけで私は地下鉄の駅にいる。この巨大な地下鉄と私の肉体がトポロジーにおいて同じものとなると非常に困惑する事態だが、私の肉体とその身にまとっているパンツとシャツはそれぞれ異なるとなるとわずかに安堵を覚えるのはなぜか。2本の列車を見送る。仮に列車が発車した後の私が列車が到着する前の私とは異なるものだとし
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