もう逃亡しません《2007年》/うんち
小さな逃亡
取り除かなければならないものが
屑篭のすぐ内側にこびりついているようにみえたので
きみはこれをスプーンでくりりとすくいだし
ベランダの出窓から
解き放ってみれば
森の広がる地面にそのままに滑り落ちました。
それでよかったと
わたしはわたしに言い聞かせます。
わたしのきみは狡猾ではありません。
それでよかった。
でも何なのか判らないままに捨てちまったんだもの。
何だったのか見にいく?
気になるわね。
もうすぐ帰ってくるいつもの冷徹男爵さんは何も知らない。
わたしときみのナルシストは話す程でもないでしょう。
このままおびただしい霧の方角へ
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