君と蒸し器について考察するこの年月は/うめぜき
七月○日
君は誰かに蒸されて出来上がったと気がつく
その蒸し器の大きさにちょっと恐れを感じる
おそらくそういう人が他にもいるんだろうと思う
七月▲○日
富永の笑っているのを見ていたら気持ちが悪くなる
奥歯に得体の知れない幼虫がいるのだ
そのことは富永と口づけた君はきっと前から知っていたのだろう
そう思うと君がわからなくなる
八月×日
君が黙っていてくれというので
君のくちづけが終わるまで
僕は黙っている
八月○×日
とあるミュージシャンの歌声が欺瞞で満ちている
そのことに気づいて君に電話した
すると君のお母さんが出て
君が栃木県で大
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