予約困難な女/はだいろ
俺は金では動かない。
というのは、とても、
立派だと思う。
ぼくもそうありたい、
男ならば。
そう思います。
ところが、
ボーナスというものを、
もらってみれば、
ああ、
これがなんとも嬉しい。
にやけてしまうくらい、
嬉しいのである。
骨の溶けた、俗なにんげんだよ、
ぼくはもう。
それで、一気に、女の子を買ってしまおうと、
いつもは使わない高級店に電話したけれど、
世のひとびともだいたい同じことを考えたのか、
単に当日予約が甘かったのか、
超人気の美少女は、
もはや秒殺で売り切れだった。
それでも、
今日のぼくはがっかりしない。
新橋のタ
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