チアーヌさん「かわいい匂い」に関する私見/佐々宝砂
かわいい生き物をかわいいと書いていいならば、いちいち詩になんてしなくっていいはずだと私は思う。「かわいい」という言葉を使わず、泣いている子どもの「かわいい匂い」を表してこそ詩なのではないかと私は思う。
もうひとつひっかかったのは、泣いている子どもの感情を、この詩がもしかしたら無視しているということだ。あくまで「もしかして」だけれども。子どものときのことをちょっと思いだしてほしいのだけれど、湯気をあげるほどに泣いているときって、本当に本当に心の底から悲しくて泣いたのではなかろうか? そんなとき、抱きしめてもらうのはともかくとして、くんくん嗅いでもらいたくはない。「かわいい匂いがする」とも言われたくはない。子どもによるのかもしれんが、少なくとも、私はそうだったと思う。
しかしもちろんこんなことは私見だ。私見なんだろうと思うよ。
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