線路沿いの春の日に/鵜飼千代子
 
             ひとみを閉じていればいい
             こころを閉じていればいい
             電車が通過する前の
             空気と地面の振動が
             もうすぐ 揺れると
             静かに伝えてくるように

             いつか慣れてくるものなのだと
             こころ静かに待っていれば
             電車は通過してゆくものなのだ

             早朝の貨物列車が
             目覚まし時計の代わりをしていた
        
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