筆づかい/乾 加津也
恢
きくところでは
りっしんべんは心をあらわす
筆づかいはひととなりをあらわす
書の道のたしなみがあれば
ときをしずめて
おもむくままに
かすれも太く
しゅうしゅうと
はだかのひと文字
かくものを
わけなどこそぎ
ただうるわしいはずの御身も
伝心という魔物にほだされ
あちらこちらと腕つるまれて
わびしさの浮く
溜まり水かな
いわんや
道をしらず
惑いにくれる唐変木なら
筆よくひたし
めくらめっぽう
まっすぐにおろしたところで
(ちらと
サンスベリア見て見ぬふりでいうことには
どこかで嗅いだ
山麓の屁のように
ひそんでおれば)
それでもなお
わらうでなく
なくでもない
ちょんちょん走る
すずめの足首 熱をうつした
このありさまをかいてみるのである
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