碧いリャドの壁/アラガイs
 

壁をずっと見つめていた/
今年はたくさんの人が消えて
思い出のなかに部屋までが暗くなってしまったから

あのときリャドの大きなシルクスクリーンを売り払って
僕はいま後悔している

脱ぎ捨てたあなたのように
薄れた記憶は甦りはしないけれど
確かに癒されていたんだと思いおこすとき
森は朝陽に照らされ
きっとあの絵も見つめていてくれた

光りと陰を誘う夢跡
石段の坂道を下る
微笑みかけた碧色
暗く沈んだ部屋の傍らに
もう戻りはしない/壁









リャド ( j t リャド …故スペインの画家 )
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