セバスチャン/乾 加津也
ごめんなさいね セバスチャン
こんなわたしで
もう かくれんぼはおわり
でてきておくれ セバスチャン
α(亀裂の称号)を せめて抱かせて
セバスチャン
ほら きいて
サイレンはやんで
危険はないのよもう だいじょうぶ
裸足は心底つめたいでしょう
悲しみで涙がとまらないでしょう
(窮屈に)しめつけられているの
もだえているの
戸をたてないで
眼をとじないで
海のように
空のように
不安を口から吐いて広げて
大輪の花を思い浮かべて
α(亀裂の称号)の指で摘みとるのよ
ω(修復の記号)の腕にとびこんできて
一緒にあたたかくなれるのよ
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