スクラップビルド/……とある蛙
 
鉄の街
街全体が銀色だった時期はとうに過ぎ
今錆び付いた茶褐色の空の色
その下に拡がる灰色のビルディング
アンドルーカーネギーの成功物語
全ては大陸横断鉄道から始まった。
鉄道レールの国産化
カーネギーは労働者を喰らう
労働者を喰らいつくして
神から何の罰も受けず
弾圧に次ぐ弾圧で
終には六五歳で引退
喰らった労働者の肉は
三〇〇〇以上の図書館や
カーネギーメロン大学
三億五〇〇〇萬ドルの寄付
死んでからも全ての遺産を寄付して
あの世に何も持って行かない潔さ

今先端技術産業の街に
この街は生まれ変わろうとしている。

戻る   Point(6)