絶え間なく流れ続ける音楽のこと/及川三貴
ない
海、港町の匂いは潮の香りなんかじゃない、生き物が死んで腐敗する香りなんだ 貝 魚 人 そして音楽
遠く離れた町で戦争があって誰かが死ねば心痛める涙は近い将来私を部屋の中に閉じ込めて窓が閉じられる 彼女の声を音楽を聴こうと必死に耳を澄ませて同じように 彼女をそうさせたように私を殺すだろうか
あの日彼女を泣かせてしまった言葉には確かに力があってそれは法則によれば彼女の音楽をかき消すほどの 暴力 いいえ一つの熱の事
長い長い音楽が高く細く続いて終わる
細い声は余韻も残さずに終わる
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