君へ/桜 歩美
 
君の10年分を昨夜ずっと何度も見ていたよ
眠らずに何度も見ていたよ

生まれたばかりの君を
心細い私
心の弱い私は
君を育てるという大きな壁にぶつかって
泣いてしまった
くじけてしまいそうになる自分を
なんとかなんとかつないで生きていた
君とともに
とてもじゃないけれど
「可愛い」
なんて思える余裕はなかったよ・・

でも10年お母さんをして振り返る君の幼き笑顔は
なんて可愛いの?
こんなに可愛いことに
10年も経ってから気がつくなんて
お母さん悔しいよ
もっともっと早くに君の可愛いに気がついて
もっともっといっぱいいっぱい君を抱っこしたかった
心の底か
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