夢中無/遠藤杏
 
会ったことがあるようなないような、この男の醸し出す雰囲気には懐かしさを感じるものの、詳しいことは何も思い出せないでいる
黄色いプールに服のまま入る
べっとりと何かがスカートに張り付いてわたしのふとももを大きく浮かび上がらせた
目の前にぐるぐると回っているのは子供の時に行った遊園地のあの木造のジェットコースターではないだろうか 今にも崩れ落ちそうにぶるんと音を立ててガタンと止まった
一瞬息を飲んだ
何の変哲もない街 新宿の小さい通り道 ゴミ箱から不思議な野菜が寂しげに飛び出している
どこかに迷い込んで一生辿り着けない場所を目指しているようなあまりにも酷い倦怠感に襲われる
わたしの街はど
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