天才的ピアニストの、独白/番田 
 

今日もとても疲れた体で
私は たき火に 当たっている
たき火に 体は 当てられていた
たき火は ぼうぼうと燃え
言葉の一つすら なくしてしまいそうだった
シンガポールの 真っ暗な バーだった


ホテルにまた 君と 舞い戻るのだろうと
モスコミュールを 注文する
手は ひどく かじかんでいた
私の 音楽的才能の 無さへと
今日は 本当に 疲れ切っている



今日は 本当に 疲れ切っている
バニラアイスでも舐めて
一人 流れる時間でも見つめていたかった


やるきすらも無くしてしまったんだ
追い続けられるだけの人生なんて もういやだ


もの
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