静物画家の日記/番田
逆光の色など美しいわけがないと、
絵画を見つめながら私は呟く。
私の絵画が目の前には実体として確実にあるのだが、
夕暮れの、緑色の丘における、
涙色をしたため息を吐かされている。
水色の船の出る海を目尻に眺めては、
真っ白い浜辺に人々のたむろしている、
今日の日は光り輝く良い天気だ。
散水シャワーの裏手にある静かな店で、
高すぎるコーヒーをすすりながら子供の水着を眺めている。
ベッケンバウアーの放つジャンピングボレーシュート。
所持金を無くしてサンドイッチに噛みつけば、
親父は小馬鹿にしたような目つきで俺を刺してきた。
オリーブオイルをしぶしぶ
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