cold water/ホロウ・シカエルボク
てなんとなくそのまま買ってしまった赤いトレーナー、赤は多少くたびれたが毛玉のおかげでどことなく12月には似合いだ、部屋の隅には奇妙に片付いた一角がある、もうじきこの部屋は引き払うからだ
住処が変わるということは容易い暗示みたいで愉快な気分になる、しかもそれがいまの住処よりもずっとしっかりした、おまけにあまり金もかからないところとなればこれはご機嫌な話、仕事が終わればこれまでよりもずっと快適に羽を伸ばせるだろう、日常を確保するための運がようやくおれにもめぐってきたのだ、誰かが邪魔をしくさるような、そんな毎日はもうすごさなくてすむのだ、ハッピー!おれは叫んだ、世界はまだ愛に満ちているのだ!
マ
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